
子育て・心育てのエッセンス
環境を整える②

子どもの環境を整えるために配慮したいこと
前回、環境について記しました。
子どもにとって、環境を整えることがどれだけ大事であるか!
子どもだけではありません。
大人も、整えられた環境で過ごすことが心地よいことは、みなさんご存知だと思います。
しかし、大人になってしまうと、人それぞれ心地良い環境は違ってきてしまいます。
整えられた整然とした環境が心地よく感じる方・雑然とものが置いてあっても、自分で置き場所がわかっていて手に届く環境が心地よい方・無音が心地よい・ガンガン音楽が流れていた方が心地よいetc
大人は育つ過程で「心地よい」と感じる環境が作られ、変わっていきます。
しかし、子どもは生まれながらに「秩序感」(*)を持っています。ですから、子どもは「秩序がある環境が心地よい」と感じるのです。
生まれた赤ちゃんにとって、「心地よい環境」を整えるために配慮したいことについて、今回は記していこうと思います。
子どもにとっての環境とは、大きく2つに分けて「人的要素」と「物的要素」があります。
「人的要素」とは、字の如く「人」です。子どもの周りにいる人、赤ちゃんだと1番近い人は、ママ・パパ。保育園や幼稚園に行くようになれば先生、と増えていきます。
人が子どもの育つ環境として大きな要因になるのです。
まずは、ママとパパとしての自覚・互いの理解や協力がとても大事になってきます。
また、事前の準備として、予備知識を持つことも大事です。そうすることで、子どもの成長発達を援助しやすくなります。
また「物的要素」とは、物質的要素です。そこで実務を行うために必要なものが揃っていること。
その中には、スペース・光・マテリアル・色・温度・空気の循環などの要素があります。
それらは、できる限り整えられている方が、発達を促しやすいのです。
物的要素 | 適切な事項 | 理由 | その他 | 気をつける事 |
スペース | 広すぎず、狭すぎないことが望ましい。 | 子どもは、広すぎるとその空間の中のどこにいるのかを認識しにくい。 | 大人が、広い体育館で寝るのと同じ感じ。 | |
光 | 自然光が1番望ましい。 | 太陽光で、昼と夜を認識する。自然光の中で子どもが活動を始める。 | ||
人工の光も選んで使うようにする。 | 蛍光灯よりも電球がいいが、今はほとんどがLEDになっている。 LEDなら白熱色ではなく、電球色を選ぶ。 |
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光が多すぎることもNG。 | 光が多すぎても子どもの集中が妨げられる。 | カーテンや布などを使って、光の量を調整する。 | ||
夜の授乳に関して!
部屋全体を明るくする必要はなく、足元の小さなライトだけで十分。 そしてもう一点、出産直後は、ママも赤ちゃんもあまり光が多くないところが望ましい。 |
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マテリアル (家具、それに付随する物、発達の援助をするような物) |
それぞれが、機能的に子どもに合った使い方ができるかをチェックする。 例えば、サイズも大きすぎず、小さすぎず、適切な大きさを考える。 使用しない時は、適切な場所に置かれたり、しまわれたりすることが望ましい。 |
不必要なものは置かないこと。 全ては『その時にそのことに集中できるように』そこにあるようにする。 |
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色 | 色が子どもにどんな影響を与えるか、環境の色を考える。 色は環境全体を整えるときに、重要な役割を果たす。 お手本は、「自然の中の色」を考えると参考になる。 |
色が人間に与える影響がある。 例えば、ホワイトやパステルカラーは、人間にとって癒しになる。(病院などはこのような色合い) 赤は怒り、緑は落ち着いた気持ち…など。 |
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空調と湿度 | 1番は自然の空気が入ることが大切。 | 最初の2週間は体温調節が自分でできないため、エアコンなどを使って体温調節を助けてあげる。 その後も、子どもが病気にならないよう必要に応じて温度調節はする。 |
エアコンを使う目安としては、夏は26℃〜28℃、冬は20℃〜23℃に設定。 エアコンを使う時の注意点としては、直接風が当たらないようにする・つけっぱなしにしない・冬でも換気はすること。 |
ある程度の湿度も必要。夏冬ともに40%〜60% 適度な湿度がないと、粘膜の調子が悪くなり、粘膜が傷つくなど、そこから感染する場合もある。 汗腺をきちんと育てるためにも、汗をかくことも大事。 夏の冷やしすぎには、気を付ける。 |
もう一点、温度も大事だが、子どもが季節感を感じることも大切。 季節のお花や物を飾ったりするのも良い。 |
全てを全部やろうとしても…無理です!という声が聞こえてきそうです。
全部をやろうとしなくてもいいんです!
一つずつでも、子どものために実践してみてください。
一つできたら、次にもう一つ!とチャレンジ。
頭の片隅に置いておいていただいて、「あっ、そういえばこんなこと言っていた!」と思い出していただければ、そして、その時にやってみよう!でいいのです。
赤ちゃんのために、子どものために、少しずつでも「知る」(知識)を増やし、子育てを楽しんでください。
(*)秩序感→生後数ヶ月からみられ、2歳前後(個人差あり)をピークとして、4歳にはほぼ消えてしまう感受性のことです。
この時期は「秩序の敏感期」とも言われ、大人がどうでもいいと感じることに対し、子どもは強いこだわりを持ちます。
「場所、順序、時間、所有」などが一定でないと、心が穏やかでなくなるのです。