子育て・心育てのエッセンス

環境を整える②

教育 2024年7月20日

子どもの環境を整えるために配慮したいこと

前回、環境について記しました。
子どもにとって、環境を整えることがどれだけ大事であるか!

子どもだけではありません。
大人も、整えられた環境で過ごすことが心地よいことは、みなさんご存知だと思います。

しかし、大人になってしまうと、人それぞれ心地良い環境は違ってきてしまいます。
整えられた整然とした環境が心地よく感じる方・雑然とものが置いてあっても、自分で置き場所がわかっていて手に届く環境が心地よい方・無音が心地よい・ガンガン音楽が流れていた方が心地よいetc

大人は育つ過程で「心地よい」と感じる環境が作られ、変わっていきます。

しかし、子どもは生まれながらに「秩序感」(*)を持っています。ですから、子どもは「秩序がある環境が心地よい」と感じるのです。
生まれた赤ちゃんにとって、「心地よい環境」を整えるために配慮したいことについて、今回は記していこうと思います。

子どもにとっての環境とは、大きく2つに分けて「人的要素」と「物的要素」があります。

「人的要素」とは、字の如く「人」です。子どもの周りにいる人、赤ちゃんだと1番近い人は、ママ・パパ。保育園や幼稚園に行くようになれば先生、と増えていきます。
人が子どもの育つ環境として大きな要因になるのです。

まずは、ママとパパとしての自覚・互いの理解や協力がとても大事になってきます。
また、事前の準備として、予備知識を持つことも大事です。そうすることで、子どもの成長発達を援助しやすくなります。

また「物的要素」とは、物質的要素です。そこで実務を行うために必要なものが揃っていること。
その中には、スペース・光・マテリアル・色・温度・空気の循環などの要素があります。
それらは、できる限り整えられている方が、発達を促しやすいのです。

物的要素 適切な事項 理由 その他 気をつける事
スペース 広すぎず、狭すぎないことが望ましい。 子どもは、広すぎるとその空間の中のどこにいるのかを認識しにくい。 大人が、広い体育館で寝るのと同じ感じ。
自然光が1番望ましい。 太陽光で、昼と夜を認識する。自然光の中で子どもが活動を始める。
人工の光も選んで使うようにする。 蛍光灯よりも電球がいいが、今はほとんどがLEDになっている。
LEDなら白熱色ではなく、電球色を選ぶ。
光が多すぎることもNG。 光が多すぎても子どもの集中が妨げられる。 カーテンや布などを使って、光の量を調整する。
夜の授乳に関して!

部屋全体を明るくする必要はなく、足元の小さなライトだけで十分。
それによって、子どもは「夜は暗い、でも暗いところでも空腹が満たされる」と理解する。そして、暗い=怖いには、ならない。

そしてもう一点、出産直後は、ママも赤ちゃんもあまり光が多くないところが望ましい。

マテリアル
(家具、それに付随する物、発達の援助をするような物)
それぞれが、機能的に子どもに合った使い方ができるかをチェックする。
例えば、サイズも大きすぎず、小さすぎず、適切な大きさを考える。
使用しない時は、適切な場所に置かれたり、しまわれたりすることが望ましい。
不必要なものは置かないこと。
全ては『その時にそのことに集中できるように』そこにあるようにする。
色が子どもにどんな影響を与えるか、環境の色を考える。
色は環境全体を整えるときに、重要な役割を果たす。
お手本は、「自然の中の色」を考えると参考になる。
色が人間に与える影響がある。
例えば、ホワイトやパステルカラーは、人間にとって癒しになる。(病院などはこのような色合い)
赤は怒り、緑は落ち着いた気持ち…など。
空調と湿度 1番は自然の空気が入ることが大切。 最初の2週間は体温調節が自分でできないため、エアコンなどを使って体温調節を助けてあげる。
その後も、子どもが病気にならないよう必要に応じて温度調節はする。
エアコンを使う目安としては、夏は26℃〜28℃、冬は20℃〜23℃に設定。
エアコンを使う時の注意点としては、直接風が当たらないようにする・つけっぱなしにしない・冬でも換気はすること。
ある程度の湿度も必要。夏冬ともに40%〜60%
適度な湿度がないと、粘膜の調子が悪くなり、粘膜が傷つくなど、そこから感染する場合もある。
汗腺をきちんと育てるためにも、汗をかくことも大事。
夏の冷やしすぎには、気を付ける。
もう一点、温度も大事だが、子どもが季節感を感じることも大切。
季節のお花や物を飾ったりするのも良い。

全てを全部やろうとしても…無理です!という声が聞こえてきそうです。

全部をやろうとしなくてもいいんです!
一つずつでも、子どものために実践してみてください。
一つできたら、次にもう一つ!とチャレンジ。

頭の片隅に置いておいていただいて、「あっ、そういえばこんなこと言っていた!」と思い出していただければ、そして、その時にやってみよう!でいいのです。

赤ちゃんのために、子どものために、少しずつでも「知る」(知識)を増やし、子育てを楽しんでください。

(*)秩序感→生後数ヶ月からみられ、2歳前後(個人差あり)をピークとして、4歳にはほぼ消えてしまう感受性のことです。
この時期は「秩序の敏感期」とも言われ、大人がどうでもいいと感じることに対し、子どもは強いこだわりを持ちます。
「場所、順序、時間、所有」などが一定でないと、心が穏やかでなくなるのです。